肝硬変の概要
原因と治療について
肝硬変の主な原因は、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスによるものです。
近年、生活習慣病から発症する、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease)、非アルコール性脂肪性肝炎NASH(nonalcoholic steatohepatitis)が増加傾向ですが、“alcoholic”および“fatty”は不適切と見なされ、脂肪性肝疾患をsteatotic liver disease(SLD)と総称し,従来のNAFLD,NASHはメタボリック症候群の基準の一部を満たす場合に限定して,metabolic dysfunction associated steatotic liver disease(MASLD)、metabolic dysfunction associated steatohepatitis(MASH)と診断することになりました。
また、アルコール性肝疾患はalcohol-associated (alcohol-related) liver disease(ALD)、飲酒量がアルコール性肝疾患とNAFLDの中間でメタボリック症候群の基準の一部を満たす場合はMetALD、NAFLDでメタボリック症候群の基準の何れも満たさない場合はcryptogenic SLDとし、薬物性、Wilson病などに起因する場合はspecific aetiology SLDと診断する事となりました。そして、肝硬変の方は、3ヶ月毎の超音波・CT・MRI検査、採血でフォローします。
脂肪性肝疾患の日本語での新たな病名が、以下のように決定しました。
<日本語病名>
Steatotic Liver Disease(SLD):脂肪性肝疾患
Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease(MASLD):代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
Metabolic Dysfunction Associated Steatotohepatitis(MASH):代謝機能障害関連脂肪肝炎
Alcohol Associated (Related) Liver Disease(ALD):アルコール関連肝疾患
MetALD:代謝機能障害アルコール関連肝疾患
Cryptogenic Steatotic Liver Disease:成因不明脂肪性肝疾患
Specific Aetiology Steatotic Liver Disease:特定成因脂肪性肝疾患
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昔は、肝硬変と診断されたら、余命5年と言われていましたが、検査や治療が進歩し皆さんお元気にお過ごしです。肝硬変の診断がついても、全身状態がよければ、C型肝炎ウイルスにはインターフェロンフリー治療、B型肝炎ウイルスには核酸アナログ製剤治療を行い、少しでもウイルスを肝臓、全身から排除し肝臓病の進行を食い止めるよう勧めています。
また、肝硬変になると、食道静脈瘤が出現し放置すると、吐血して生命にかかわる事があるため、食道静脈瘤のある方は半年毎に胃内視鏡検査を受けていただき、破裂の危険性がある場合は予防的内視鏡的治療、食道静脈瘤結紮術、硬化術を施行していただくよう入院可能な病院へご紹介しています。